2012年1月19日木曜日

メディウム:アブソーベントプライマー


http://www.turner.co.jp/art/golden/technicaldata/absorb.html より


ゴールデン・アブソーベントプライマーは、多くのさまざまな下地に多孔質の紙のような質感のある表面を作る、液状のアクリル表面調整用メディウムです。乾燥時にもっとも吸湿効果を発揮するよう、独自の製法を用いています。ジェッソを塗ったキャンバスにアブソーベントプライマーを上塗りすれば、保護された下地の上に生のキャンバスのような着色性を再現することができます。また下地の整った、安定したキャンバスに水彩絵具を使用できるようにします。
<製品説明>
ゴールデン・アブソーベントプライマーはステインや水彩画に使用するために作られたもので、耐光性に優れ恒久的で柔軟性があります。ジェッソの代用品ではありません。これは繊細で紙のような性質を持っているため、事前に下塗りした表面に塗布する必要があります。適切な上塗りをすれば、ガラスの下に保管する必要のない、恒久的なアクリルの被膜になります。ゴールデン・ワニス(PolymerおよびMSA)を使用すると、日光やほこりなどの環境要因から作品を保護します。
上塗りが適切に塗られていない限り、アブソーベントプライマーの上に盛り上げ技法で描画することはお勧めしません(表面の下準備の項を参照)。
アブソーベントプライマーは、白とキャンバス色(日本国内は白のみ発売)があります。 
<製品の使用方法>
・表面の下準備
ジェッソを塗ったキャンバス、メゾナイト、木材、または他の基材表面に塗布します。表面にゴールデン・ホワイトジェッソを2回塗布します。硬い支持体では、ゴールデン・サンダブルハードジェッソ(国内未発売)を塗布すると、表面をより滑らかにすることができます。
・アブソーベントプライマーの塗布
アブソーベントプライマーは筆、ローラー、またはスキージで塗布できます。被膜を均一にして塗りやすくするには、水で最高35%まで薄めます。厚く塗ると被膜が乾燥したときにひび割れが生じる場合があるので、薄く塗ります。吸収性を高めるために何回か重ね塗りします(5~6回重ね塗りすると、非常に吸収性の高い表面になります)。一回で厚く塗りたい場合や非常にテクスチャーのある表面に塗る場合は、GOLDEN Soft Gel Glossを最高40%混ぜると、ひび割れの可能性を低くすることができます(ただし、同時に被膜の吸収性も低下します)。アブソーベントプライマーは、絵具を塗る前に完全に乾燥させてください。

アクリルステインの場合
ゴールデン・アクリリックスは、アブソーベントプライマーを塗布した下地の上にステイン技法で描画するのにもっとも適しています。ゴールデン・エアブラシカラー(国内未発売)の粘性はステイン技法に適しているため、もっとも効果的にステインを表現できます。ゴールデン・アクリリックス、Matte Acrylics、High Load Acrylics、およびフルーィドアクリリックスは、適度なステインを得るには粘性が高すぎます。水かゴールデン・メディウムで簡単に薄めることができますが、これらの絵具は薄めてしまうと顔料の発色を低下させてしまうことに注意してください。水を増やすと透明性が高くなります。いろいろな色や混ぜ方を試してみて、もっとも適した方法を決定してください。

ステインは表面にすぐ吸収される位に薄くなければなりません。ステイン効果を高めるには、絵具を塗る前に水で表面を湿らせると、吸収性が良くなります。GOLDEN Acrylic Flow Releaseをステインや水に加えてさらに効果を得る場合もあります。道具は石鹸と水で洗ってください。
実験
以下にあげる用法やテクニックは完璧なものではなく、実験的なものとお考えください。これらの素材はアーティストが革新的な方法で試したり新しい可能性やユニークな効果に興味をもっていただくために提供しています。いくつかのアイデアはアーティストの成功例に基づくものです。さらに加えることがあればどのようなものでもゴールデン社は歓迎します。テクニカルサポートまでお電話またはeメールでご連絡ください。

実験的なものですから、大切な作品などに使う前に十分に手順を試して、予期できない問題を解決し期待した効果が得られることを確認してください。

水彩ステインの場合
水彩絵具はアブソーベントプライマーの上に効果的に使えます。水溶性などの水彩絵具の特性をすべて保ちます。完成した絵は従来の水彩画のようにガラスで覆ったり、アクリル遮断コートで上塗りしさらにワニスを塗ったりすることもできます。水彩絵具の上にアクリル遮断コートを筆塗りする場合は、筋が付くので注意が必要です。最良の結果を得るには、遮断コートをスプレーで軽く吹き付け、連続した膜ができるまで徐々にコーティングしていきます。絵全体に均一な光沢がでれば作業は完成です。

アブソーベントプライマーを水彩画紙の上に塗布することで、不要な塗りあとやミスをカバーすることもできます。適切に希釈したプライマーを、塗りつぶしたい部分が十分にカバーされるまで均一に薄く何回も塗ります。コーティングを完全に乾燥させてから、お好みの方法で絵を描いてください。

油絵またはアルキドステインの場合
ステイン技法は水性作品を使用する場合と似ていますが、保護方法や材料が異なります。油絵の場合、たとえ薄いステインでも、テレピン油の蒸発や亜麻仁油の乾燥に長い時間が必要です。ワニスを塗るのにどれくらいの時間待つ必要があるのか判断するには、他の資料をみてください。ほとんどの場合、6~12ヶ月たってから最後のワニスを塗るよう推奨しています。これを守らないと、うまく接着しなかったり、ワニスが曇る場合があります。硬化したら、絶対にアクリル遮断コートを塗らないでください。その代わりにゴールデン・MSAワニスを油絵に直接塗ってください。下地は吸湿性があるため、ワニスを完全に取り除くことは困難になります。

絶対に油絵や油性パステル画にアクリル遮断コートを塗らないでください。アクリルは油絵にはうまく接着しません。ワニスを塗る前に、必ず油絵を十分に時間をかけて硬化させてください(ほとんどの場合、6~12ヶ月を推奨)。MSAワニスを油絵に直接塗ってください。アブソーベントプライマーは非常に吸収性が高いため、必ず最初にグロスワニスを少なくとも1回は塗って、アブソーベントプライマーの下地をシールし、その後必要に応じてSatin(半つやワニス:国内未発売)またはマットワニスを塗ってください。これにより、吸収性のある絵具や下地の上に塗ったマットワニスに生じる曇りやしみを防ぐことができます。それがどのように、なぜ発生するのかについての詳細な説明は、ゴールデンのワニス資料を参照してください。

その他の画材を塗る場合
アブソーベントプライマーは伝統的な水彩画、パステル画、チョーク画等の描画に適しています。これらの絵画に上塗りをしようとする場合はその前に、その画材の性質を理解することが重要です。水彩画のように水に弱い絵画は、上に遮断コートを塗ると筋が付いてしまいます。遮断コートや最後のワニスを厚く塗る前に、GAC 500/Airbrush Transparent Extender(国内未発売)を混ぜたものを軽く吹き付けることをお勧めします。

最初にAirbrush Transparent Extenderを吹き付け非常に薄いコートを作って表面をシールしてから、さらに厚く塗り重ねてください。できるだけ低い圧力で作業してください。遮断コートを塗布する場合は、特に注意が必要です。遮断コートの塗布については、上述の水彩画の場合の説明を参照してください。

追加情報

アブソーベントプライマー表面をシールするには
アブソーベントプライマーは吸湿性が高いため、表面を適切にシールしなければなりません。ステインの完了後は、表面に水性アクリルポリマーを塗り、ほこり、ごみ、油脂が表面にこびり付かないようにする必要があります。絵具を厚く塗り重ねる前にもこのシールコートをお勧めします。先に表面をシールしておくと、その上の絵具の層は適度な接着性のある強力な膜になります。

表面をシールするには、GOLDEN GAC100またはGAC 500などのアクリルポリマーとGOLDEN Airbrush Transparent Extenderを2対1の割合で混合して吹き付けます。あるいはソフトゲル・グロスを40%の水かグロスメディウムで薄めて筆で塗ります。グロスメディウムを少し薄める必要がある場合もあります。

さらにしっかりと保護するには、MSA ワニスまたはワニス(詳しいワニスの説明については、ワニス・インフォメーションシートを参照)をお勧めします。

http://www.turner.co.jp/art/golden/technicaldata/justpaint/jp17/jp17article3.html より以下
元来は水彩紙の吸収性を再現する目的ですが、アブソーベントプライマーは多くのユニークな用途に使われています。特殊な成分により高い吸収性があり、アクリル絵具や水彩絵具あるいは他の薄めたウォッシュに対し水彩のような効果が得られます。この製品が適切に接着するためには、下地処理した基底材が必要です。